プレマルブログ

美少女ゲームの紹介、感想など。ネタバレには配慮してます。

「WHITE ALBUM2」のレビュー

どうしてこうなるんだろう・・・

あらすじ
―――――――――――――――――
冷たい風を震わせて、歌が聴こえてきた――

夕暮れの音楽室で俺が奏でるギターに合わせるように。
隣の教室で顔も知らない誰かが奏でるピアノに合わせるように。

屋上から響いてきた、鈴が鳴るように高く澄んだその声は、
バラバラだった俺たち三つの旋律を繋いでくれた。

始まりは、そんな晩秋。
そのとき、誰かが誰かに恋をした。

誰もが一生懸命だった。
誰もが強い気持ちで突き進んだ。
誰もが、ひたむきに、まっすぐに、正直に――
心の底で結ばれ、かけがえのない瞬間を手に入れた。

だからそのとき、誰かが誰かに恋をしてしまった。
一足遅れの、してはいけない恋を。

そして冬――降り積もる雪は、すべての罪を覆い隠し。
やがて春――雪解けと共に、すべての罰を下す。
―――――――――――――――――

 

《ゲーム紹介》

今回はエロゲ史に名を刻んだ名作WHITE ALBUM2をご紹介します。

 

本作はLeafから発売されているのですが、驚きなのは同ゲームのシナリオを担当した丸戸史明の持ち込み企画だったということです。

 

そもそも丸戸史明Leafの社員ではありません。

企画屋というシナリオライター集団に所属していた人間です。(今も所属しているかは不明)

 

そんな社外の人間が企画を持ち込んで、Leafが乗って、販売されて・・・と。

この時点でどんだけWHITE ALBUM2を書きたかったんだお前は。というのがわかります。

 

ちなみにタイトルにある”2”が示す通り、前作にあたる「WHITE  ALBUM」というゲームが1998年に同じくLeafより発売されています。

しかし、前作とストーリー上の接点は全くと言っていいほどありません。

BGMや前作の登場人物の名前が一部使われている程度ですので、ナンバリングタイトルと意識する必要性はないと思われます。

 

冬を舞台に繰り広げられる若者たちの恋愛と人生の物語。

主人公に共感するもよし、しっかりしろとブチ切れるのもよし。

プレイする際は、薬局で胃薬を購入してから臨むことを推奨します。

 

※本作は「introductory chapter」と「closing chapter」に分かれていますが、本記事では区別せずに「WHITE ALBUM2」とまとめた形でご紹介します。

 

 

 

《登場キャラクター紹介》

★「introductory chapter」から登場するキャラクター

 

北原 春希(きたはら はるき)
峰城大付属3年E組。前期クラス委員長。
軽音楽同好会所属。セカンドギター(雑用)担当。
特技は余計なお節介と非の打ち所のない説教と完璧な理論武装。成績はトップクラス。
本作の主人公。

 

©AQUAPLUS
小木曽 雪菜(おぎそ せつな)
峰城大付属3年A組。
ミス峰城大付属二年連続制覇中。三連覇の期待がかかる高嶺の花。

 

©AQUAPLUS
冬馬 かずさ(とうま かずさ)
峰城大付属3年E組。
窓際の席で常に居眠りしている、遅刻、サボリの常習犯にして、
大人はわかってくれない的な鬱屈を抱える、時代錯誤な不良娘。



★「closing chapter」から登場するキャラクター

©AQUAPLUS
杉浦 小春(すぎうら こはる)
峰城大付属3年A組。前期クラス委員長。元テニス部副主将。
真面目で堅実で、親身な世話と的確な助言が心地良いという、
言い方を変えれば誰かとそっくりな性格の少女。
身長を始めサイズは全体的に控えめだが前向きな積極性でカバー。

 

©AQUAPLUS
和泉 千晶(いずみ ちあき)
峰城大学文学部3年。
窓際の席どころか、ゼミ室に寝袋を持ち込んで熟睡している。
怠惰、無気力、依存症を絵に描いたような典型的な大学生。
要領がよく甘え上手なため、今までなんとか進級してきたが、
最近はさすがにゼミのレポートが増えてきたため進級が危ぶまれている。

 

©AQUAPLUS
風岡 麻理(かざおか まり)
開桜社という中堅どころの出版社に勤務している雑誌編集者。
若手と言うには語弊があるがベテランと言われる筋合いもないお年頃。
同期の中では男女関係なく一番の出世頭で、将来の編集長筆頭候補。

 

《製作スタッフ》

クリエイターの情報

キャラデザ なかむらたけし(NAK村、中村毅)
原画 なかむらたけし(NAK村、中村毅) , 桂憲一郎(桂枝毛) , 柳沢まさひで , 甘味みきひろ(サブ)
シナリオ 丸戸史明 , 企画屋(サブ)
音楽 石川真也 , 中上和英 , 松岡純也 , 衣笠道雄(豆田将) , 下川直哉(ED曲)
歌手 上原れな(OP曲「幸せな記憶」、ED曲「優しい噓」「closing」) , 津田朱里(ED曲「愛する心」「心はいつもあなたのそばに」) , 小木曽雪菜(ED曲「時の魔法」)
その他 二宮一雄(ディレクター、スクリプト) , 下川直哉(プロデューサー、音楽監修) , なかむらたけし(NAK村、中村毅)(企画) , 丸戸史明(企画)

※ErogameScape-批評空間-様より抜粋

 

《評価と点数》

※評価項目について※

シナリオ・・・話の構成、文章の読みやすさ、語句の使い方など。文章全般の品質と物語としての面白さにおける評価。

作画全般・・・キャラクターや背景、イベントCGなど、全般的な絵の評価

ボーカル曲・・・OP曲、ED曲、挿入歌など、作中で使われた歌が入っている曲の評価

BGM・・・作中で使われたBGMの評価

システム・・・UI関係全般と演出、効果音などの評価

 

★☆★一言メモ★☆★

・天才・丸戸史明の最高傑作。

・ボイスを聞き飛ばしても50時間はかかる大作。

・THE三角関係。

 

《総評》

私は、主人公の春希に共感する部分が多々ありました。

共感してしまうが故に苦しいときもあれば、いや、お前それはダメだろ!と言いたくなる時もあったりして、いい具合にストーリーに引き込まれてました。

全く共感できないタイプの方もいるかもしれません。

そういう方の場合は春希に終始怒りをぶつけることになる可能性大です。クリアまでの50時間超怒り続けてください。

 

このゲームで1番恐ろしいと感じたのは、選択肢が出るタイミングです。

ストーリーに没頭して、この後どうなってしまうのだろうか、とか、こんな風になるんじゃないか、とか。

頭の中は、そういう状態になってるんですよ。気付かないうちにね。

要は傍観者になってるんです。

でも、でもね。急に出てくるんですよ、選択肢が。

大事なところで、選択権がプレイヤーに投げられるんですよ。

重い話って、他人事だから簡単に聞けたりするんですよ。

ストーリーに没頭しているときって、どこか他人事として脳が処理しているんだと思うんです。

それがね、急にこっちにパスを投げて来るんですよ。大谷翔平もびっくりの球速かつ正確無比のコントロールで。

ボケーっと構えていたグローブに、時速160kmの豪速球が入ってくるようなもんです。

そのおかげで傍観者だったはずが、物語の当事者へと引っ張り出される。

この仕組みのせいで、より心を揺さぶられ、さらに物語へと没頭させられるって感じです。いや、ほんとエグいて・・・。

 

©AQUAPLUS

 

本作は、良くも悪くも人生経験の有無でクリア後の感想が変わってくる作品だと思います。

おそらく発売当時にプレイしていたら、私は今よりも純粋だったので、もっと春希を軽蔑したり罵倒することができたかもしれません。

けれども、リアルホワイトアルバム2みたいなことをしでかした私にとって、春希の気持ちは痛いほどわかってしまいました。(一部のルートは春希を殴りたかった)

こんなに心理描写が上手だと、丸戸氏の経験談入ってるんじゃないか?と疑いたくなるほどです。

 

さて、途中から何を書いているのか若干わからなくなりましたが、なんとなくでもいいので、WHITE  ALBUM2って凄そうなゲームだなとか思っていただければ幸いです。

凄いです。エロゲ史において、ひとつの到達点にある作品と言っても過言ではないかもしれません。

 

悩んで、苦しんで、人を傷つけ、傷つけられて。

何度も挑戦と失敗を繰り返し、それでも足掻き続ける。

その手に最後に残るのはいったい何なのだろうか・・・