「WHITE ALBUM2」のレビュー
どうしてこうなるんだろう・・・
《ゲーム紹介》
今回はエロゲ史に名を刻んだ名作「WHITE ALBUM2」をご紹介します。
本作はLeafから発売されているのですが、驚きなのは同ゲームのシナリオを担当した丸戸史明の持ち込み企画だったということです。
企画屋というシナリオライター集団に所属していた人間です。(今も所属しているかは不明)
そんな社外の人間が企画を持ち込んで、Leafが乗って、販売されて・・・と。
この時点でどんだけWHITE ALBUM2を書きたかったんだお前は。というのがわかります。
ちなみにタイトルにある”2”が示す通り、前作にあたる「WHITE ALBUM」というゲームが1998年に同じくLeafより発売されています。
しかし、前作とストーリー上の接点は全くと言っていいほどありません。
BGMや前作の登場人物の名前が一部使われている程度ですので、ナンバリングタイトルと意識する必要性はないと思われます。
冬を舞台に繰り広げられる若者たちの恋愛と人生の物語。
主人公に共感するもよし、しっかりしろとブチ切れるのもよし。
プレイする際は、薬局で胃薬を購入してから臨むことを推奨します。
※本作は「introductory chapter」と「closing chapter」に分かれていますが、本記事では区別せずに「WHITE ALBUM2」とまとめた形でご紹介します。
《登場キャラクター紹介》
★「introductory chapter」から登場するキャラクター
★「closing chapter」から登場するキャラクター
《製作スタッフ》
クリエイターの情報
キャラデザ | なかむらたけし(NAK村、中村毅) |
---|---|
原画 | なかむらたけし(NAK村、中村毅) , 桂憲一郎(桂枝毛) , 柳沢まさひで , 甘味みきひろ(サブ) |
シナリオ | 丸戸史明 , 企画屋(サブ) |
音楽 | 石川真也 , 中上和英 , 松岡純也 , 衣笠道雄(豆田将) , 下川直哉(ED曲) |
歌手 | 上原れな(OP曲「幸せな記憶」、ED曲「優しい噓」「closing」) , 津田朱里(ED曲「愛する心」「心はいつもあなたのそばに」) , 小木曽雪菜(ED曲「時の魔法」) |
その他 | 二宮一雄(ディレクター、スクリプト) , 下川直哉(プロデューサー、音楽監修) , なかむらたけし(NAK村、中村毅)(企画) , 丸戸史明(企画) |
※ErogameScape-批評空間-様より抜粋
《評価と点数》
※評価項目について※
シナリオ・・・話の構成、文章の読みやすさ、語句の使い方など。文章全般の品質と物語としての面白さにおける評価。
作画全般・・・キャラクターや背景、イベントCGなど、全般的な絵の評価
ボーカル曲・・・OP曲、ED曲、挿入歌など、作中で使われた歌が入っている曲の評価
BGM・・・作中で使われたBGMの評価
システム・・・UI関係全般と演出、効果音などの評価
★☆★一言メモ★☆★
・天才・丸戸史明の最高傑作。
・ボイスを聞き飛ばしても50時間はかかる大作。
・THE三角関係。
《総評》
私は、主人公の春希に共感する部分が多々ありました。
共感してしまうが故に苦しいときもあれば、いや、お前それはダメだろ!と言いたくなる時もあったりして、いい具合にストーリーに引き込まれてました。
全く共感できないタイプの方もいるかもしれません。
そういう方の場合は春希に終始怒りをぶつけることになる可能性大です。クリアまでの50時間超怒り続けてください。
このゲームで1番恐ろしいと感じたのは、選択肢が出るタイミングです。
ストーリーに没頭して、この後どうなってしまうのだろうか、とか、こんな風になるんじゃないか、とか。
頭の中は、そういう状態になってるんですよ。気付かないうちにね。
要は傍観者になってるんです。
でも、でもね。急に出てくるんですよ、選択肢が。
大事なところで、選択権がプレイヤーに投げられるんですよ。
重い話って、他人事だから簡単に聞けたりするんですよ。
ストーリーに没頭しているときって、どこか他人事として脳が処理しているんだと思うんです。
それがね、急にこっちにパスを投げて来るんですよ。大谷翔平もびっくりの球速かつ正確無比のコントロールで。
ボケーっと構えていたグローブに、時速160kmの豪速球が入ってくるようなもんです。
そのおかげで傍観者だったはずが、物語の当事者へと引っ張り出される。
この仕組みのせいで、より心を揺さぶられ、さらに物語へと没頭させられるって感じです。いや、ほんとエグいて・・・。
本作は、良くも悪くも人生経験の有無でクリア後の感想が変わってくる作品だと思います。
おそらく発売当時にプレイしていたら、私は今よりも純粋だったので、もっと春希を軽蔑したり罵倒することができたかもしれません。
けれども、リアルホワイトアルバム2みたいなことをしでかした私にとって、春希の気持ちは痛いほどわかってしまいました。(一部のルートは春希を殴りたかった)
こんなに心理描写が上手だと、丸戸氏の経験談入ってるんじゃないか?と疑いたくなるほどです。
さて、途中から何を書いているのか若干わからなくなりましたが、なんとなくでもいいので、WHITE ALBUM2って凄そうなゲームだなとか思っていただければ幸いです。
凄いです。エロゲ史において、ひとつの到達点にある作品と言っても過言ではないかもしれません。
悩んで、苦しんで、人を傷つけ、傷つけられて。
何度も挑戦と失敗を繰り返し、それでも足掻き続ける。
その手に最後に残るのはいったい何なのだろうか・・・
6,600円