「CARNIVAL」のレビュー
サヨナラ記憶
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マナブ(主人公)は、昔から嫌なことがあると、
その記憶を失ってしまう不思議な性質を持った少年。
そんな彼は、典型的なイジメられっこで、
学校でも先輩のエイミとミサワから執拗なイジメを受けていた。
ある日、いつものように学校の屋上に呼び出されたマナブは、
そこで彼へのイジメを抗議するリサの姿があった。
リサの言動に逆上したミサワが、彼女に掴みかかった瞬間、マナブの記憶が途切れ、
気付いたときには、ミサワは首を掻っ切られ血の海に横たわり、
リサは着衣を乱した格好で、意識を失い倒れていた。
記憶を失っているマナブは、曖昧な供述しか出来ず、事件の容疑者として警察に逮捕されるが……。
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《ゲームの紹介》
今回は短時間エロゲの名作「CARNIVAL」をご紹介します。
本作は有名シナリオライター瀬戸口廉也の処女作でありながらも、彼の卓越した文章力を楽しめる作品となっており、また、絵と音楽のクオリティも非常に高いので、短時間と侮るなかれ、素晴らしい作品です。
2004年に発売されたCARNIVALですが、メーカーのS.M.Lが解散していることもあり、パッケージ版はプレミアがついていて入手は困難となっています。(2022.11月現在の中古価格が20,000円~30,000円くらい)
また、本編の後日談が収録された小説版CARNIVALも存在しますが、こちらもプレミアがついており、同じく入手困難となっています。
しかしゲーム本編にはダウンロード版があり、そちらは3,000円ほどで手に入るので、プレイするだけならば比較的簡単です。
オープニングムービーはアニメーターの倉嶋丈康が制作しており、こちらも非常にクオリティが高い。
《登場キャラクター紹介》
本作の主人公。
主人公の幼馴染。社交的で成績優秀。
上級生。学校のマドンナ的存在だが、理紗の人気によりその地位を脅かされつつある。
主人公のクラスメイト。理紗とは中学以来の親友。
《製作スタッフ》
クリエイターの情報
原画 | 川原誠 |
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シナリオ | 瀬戸口廉也(唐辺葉介) , taninonP(たにみちNON)(Hシーン) , 寿衣谷(Hシーン) |
音楽 | 藤田淳平 , 菊田大介 , milktub(ED曲) |
声優 | ダイナマイト☆亜美(九条 理紗) , 氷河流(木村 学) , 吉川華生(渡会 泉) 柏木信人(三沢) , 長崎みなみ(九条 香織) , 白井綾乃(志村 詠美) , 岩泉まい(樋口まゆら、樋口まゆ)(志村 麻里) , 伊藤瞳子(高杉 百恵) 榎津まお(ガヤ協力) , 紫苑みやび(学の母、洋一) |
歌手 | NANA(OP曲 「カーニバル」) , YURIA(有里亜)(ED曲 「記憶」) |
※ErogameScape-批評空間-様より抜粋
《評価と点数》
※評価項目について※
シナリオ・・・話の構成、文章の読みやすさ、語句の使い方など。文章全般の品質と物語としての面白さにおける評価。
作画全般・・・キャラクターや背景、イベントCGなど、全般的な絵の評価
ボーカル曲・・・OP曲、ED曲、挿入歌など、作中で使われた歌が入っている曲の評価
BGM・・・作中で使われたBGMの評価
システム・・・UI関係全般と演出、効果音などの評価
★☆★一言メモ★☆★
・文章、絵、音楽、全てが高水準。
・短時間であるが故の名作。
・システム周りは少し弱い。
《総評》
卓越した文章、程よい質感の絵、主題歌およびBGMの質、声優さんの技量、ゲーム起動時に流れるオープニング・・・全てが素晴らしい作品でした。
物語としては狂気がテーマになっているので、それがもう苦手でダメなんだ、という方でなければ多くの方から太鼓判を押されるかと思います。
10時間弱で終わるストーリーですが、終わらせるタイミングも秀逸だと感じました。
物語がどの段階でどう終わるのか、というのはその目で確かめてほしいです。
一応、小説版を読めば完全に物語の終幕を迎えることが出来るらしいのですが、如何せん手に入らんて・・・
難点をあげるとすれば、ひとつだけ。
これは、私だけかもしれないんですが、ボイスの再生に違和感を覚えました。
「○○○○」みたいなキャラのセリフが表示されてから、ボイスが再生されるまでに、ちょっとだけ間があるんです。0.5秒くらいかな。
そのせいで、短いセリフだと、ボイスが再生される前に目で読み終えてしまい、私のように読み終えたらクリックして次の文へと進むタイプだと、結局キャラの声あまり聞かなかったな・・・となるかもです。
システム周りや、CGの解像度などは良いとは言えないかもですが、発売が2004年ということを考えると、まあそんなもんか、という感じです。(解像度が800×600なので、フルスクリーンにすると、画面が引き伸びてる感ありました)
個人的には、10時間未満で終わる作品としてはNo.1です。
これ以上の良作には出会えない気がします。
本来ならパッケージで欲しいし、小説版も読みたいけど・・・高すぎて無理だよぉ。
©S.M.L