「智代アフター〜It's a Wonderful Life〜」のレビュー
人生の宝物を探しに行こうー
今回は賛否両論がある「智代アフター〜It's a Wonderful Life〜」の概要と感想を述べていきます。
ちなみに、プレイしたのは10年以上前のPSP版なので、今回は当時の記憶を辿りつつ、最新の概要等を調べなおした記事になります。
《ゲーム紹介》
さて、本作は2005年にkeyより発売され、その後度重なるリメイクと移植がなされます。
2007年にPS2でリメイクされたのきっかけに、2009年にはPSP、2010年にはXbox、そこからさらにスマホ版などもリリースされ、現時点(2022.06.12.)での最も新しいのは、2020年に発売されたNintendo Switch版となります。
また、2007年にPS2でリメイクされる際に、シナリオとビジュアルが大幅に追加され、それ以降の作品は基本的にこのPS2版が元となっているようです。
ちなみに、本作は前作となる「CLANNAD」の外伝的立ち位置となっており、CLANNADにおけるヒロインのひとり、坂上智代をメインに据えた物語となっています。
《制作スタッフ》
クリエイターの情報
キャラデザ | フミオ , 樋上いたる |
---|---|
原画 | フミオ |
シナリオ | 麻枝准 , 樫田レオ(サブ) |
音楽 | 麻枝准 , 折戸伸治(がんま) , 戸越まごめ , I've(OP曲) |
声優 | 一色ヒカル(坂上 智代) 佐々木あかり(三島 とも) , 朝咲そよ(三島 有子) , 涼森ちさと(坂上 鷹文、河南子) , 谷俊介(岡崎 直幸) , 富樫ケイ(管理人) 新田祐一(岡崎 朋也) , 春日部勝利(その他) , 加古川高(その他) , 須藤彦一(その他) , おだかず(その他) , ジャンボ・ハバリ(その他) |
歌手 | Lia(OP曲「Light colors」、ED曲「Life is like a Melody」) |
その他 | 馬場隆博(BABA.DOS)(エグゼクティブプロデューサー) , 麻枝准(企画) , 藤井知貴(シナリオアシスタント、進行管理) , 神月社(OPムービー制作) |
※ErogameScape-批評空間-様より抜粋
《評価と点数》
※評価項目について※
シナリオ・・・話の構成、文章の読みやすさ、語句の使い方など。文章全般の品質と物語としての面白さにおける評価。
作画全般・・・キャラクターや背景、イベントCGなど、全般的な絵の評価
ボーカル曲・・・OP曲、ED曲、挿入歌など、作中で使われた歌が入っている曲の評価
BGM・・・作中で使われたBGMの評価
システム・・・UI関係全般と演出、効果音などの評価
★☆★一言メモ★☆★
・衝撃のシナリオ
・どろり濃厚麻枝味(誉め言葉)
・クリア後のオマケ要素
《総評》
冒頭でも述べた通り、このゲームは賛否両論分かれるのも無理はないと思います。
だって............ね。
そうくるか、と。そんなんありか、と。
ほんとに衝撃のシナリオなんですよ。
好きな人は好きだろうし、認められない人は絶対に認められないシナリオなんですよ。
で、私はどうだったのかというと............
うん、好き。超絶怒涛に好き。ラブラブ愛してる。
もともと私は自他共にみとめる麻枝信者なんですが、本作のシナリオは痺れました。
前作であるCLANNADの方が、クオリティという面では高い気がしますが、それと同時にCLANNADに物足りなさを感じてたんです、私。
例えるならば、最高に美味いラーメンを出されて、『ああ、確かにこのラーメンならこの具材で、これくらいの味付けが一番バランスが取れてるよね』って、わかるんだけれども、それと同時に、もうちょいニンニク入ってるのも好きだけどね……みたいな感覚。それをCLANNADに抱いてたんです。
そしたらそれを見破った大将が、兄ちゃんこういうの好きだろ?ほらよ、待たせたなって、ニンニクマシマシのラーメンをドンって置いてくれて、うおおおおおお!!!!!これだよこれ!!!!こういうの食いたかったんだよ!!!!!みたいな。
それが私にとっての智代アフターでした。(この例えで伝わるのだろうか)
ただ、本当に人を選ぶというのは間違いないです。
ニンニクが苦手な人に、どれだけニンニクラーメン勧めてもダメなように、合わない人には合わないと思います。
逆にハマる人はホントにハマるんじゃなかな、と。
同じくkeyからAIRという作品が発売されていますが、この作品もまた麻枝色が強い作品なので、AIRが良かった!という方なら智代アフターも好きになれるハズ!
とはいえ、あくまでCLANNAD外伝なので、本作のプレイ前には必ずCLANNADをプレイしてくださいね。
CLANNADは人生なんて言葉がありますが、この智代アフターも1つの人生だと感じました。
私がこの2作品から感じ取ったことは、
”人生とは長い坂道のようなもので、そこには楽しいことだけでなく、辛く苦しいことがたくさん待っている。でも、それでもなお、人は歩みを止めるわけにはいかず、前を向いて歩くことが大切なんだ”
ということです。
では、なぜそんな苦行のような道を人は歩むことができるのか?
いくら大切だと説かれても、辛いものは辛い。
だから、人生を歩く支えとなる何かが必要なんですよ。そうじゃないと、人は歩みを止めてしまうんです。
そして、CLANNADと智代アフターは、どちらも人生を描きながらも、その人生に必要な『何か』を違うものに置き換えた作品です。
共通のテーマに対して、異なる解答を示してきたんです。
ちなみに同作品の賛否両論に関して、麻枝信者として少しだけ反論させてください。
本作が発売された2005年11月25日なんですが、あの伝説的エロゲ「車輪の国、向日葵の少女」が発売された日でもあるんです。
当時のことを詳細にはわかりかねますが、きっとこんな風に言われたんだろうなと予想がつきます。
『CLANNADでキレイにまとまってたのに、智代アフターみたいなことしなくてよかったじゃん。買うのなら車輪買った方が絶対いいよね』
信者の私でも、人に勧めるのなら智代アフターより、車輪勧めますよ。
同じ日に発売して、両作品が並んでたら、車輪買っとけば?って言いますよ。
ただでさえ癖が強い作品なのに、発売した時期が最悪だったんだ、と少しだけ言い訳をせてください……
そして、この智代アフターは癖が強いだけで、決して悪い子じゃないんです。
CLANNADプレイ済で、智代アフターは見送ってる方がいましたら、ぜひプレイしてください……!!
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智代アフター 〜It’s a Wonderful Life〜 PerfectEdition
「シークレットゲーム-KILLER QUEEN-(NS版)」のレビュー
あなたも私を見捨てますか?
《ゲーム紹介》
本作の歴史はかなり変わったものになっていて、まず、2006年に同人作品としてFLATからリリースされたのが一番最初になります。
その後PS2版2008年に発売され、その際にシナリオの大幅な加筆と修正が加えられたり、BETシステムなる新システムを採用するなどの大きなテコ入れがなされます。
そしてさらに、このPS2版に18禁要素を加えた「DEPTH EDITION」が2009年に発売されます。しかしBETシステムは廃止。
そこから2010年にはアプリ版、2018年にはNIntendo Swich版(BETシステム復活)が発売された、ということみたいです。すごい遍歴。
シークレットゲーム最大の特徴はデスゲームということです。
この時点で人を選ぶ要素となっているのはやむを得ないと思いますね。
気に入ったキャラが死ぬ可能性あるの!?そんのイヤだ!という方もいるとは思いますので……
もしくはグロ耐性の有無も問われるかもしれませんが、少なくとも私がプレイしたNS版に関してはそこまでグロくなかったです。
そりゃあ血が出るとか、それくらいの描写はありますけれども、某あいとゆうきのおとぎばなし(それなんてマブラヴオルタ)のようなグロさはないです。
グロで忌避してるくらいだったらプレイすることをおススメします!
《製作スタッフ》
クリエイターの情報
原画 | 己即是空 |
---|---|
シナリオ | 健速 |
音楽 | Shibayan(紫葉弥十) , なるちょ(音楽) , 831 |
声優 | 岡嶋妙(姫萩 咲実) , 田原なおみ(矢幡 麗佳) , 梨本悠里(綺堂 渚) 琴音有波(紅月ことね)(北条 かりん) , 一条和矢(一条和也)(手塚 義光) , ひと美(色条 優希) , 大久保けんたろう(葉月 克巳) , 里都(郷田 真弓) , 本橋大輔(長沢 勇治) , HARUNA(陸島 文香) , 但馬綾介(高山 浩太、漆山 権造) |
歌手 | 遊女(YuNa)(OP曲1 「シークレットゲーム」、OP曲2 「トラワレビト」、ED曲1 「桜華想恋」、ED曲2 「散って、咲いて」) |
その他 | 中澤工(ディレクター) , 寺月恭一(プロデューサー) , 癸乙夜(ムービー) , 鯵乃ひらき(ムービー) |
※ErogameScape-批評空間-様より抜粋
《評価と点数》
※評価項目について※
シナリオ・・・話の構成、文章の読みやすさ、語句の使い方など。文章全般の品質と物語としての面白さにおける評価。
作画全般・・・キャラクターや背景、イベントCGなど、全般的な絵の評価
ボーカル曲・・・OP曲、ED曲、挿入歌など、作中で使われた歌が入っている曲の評価
BGM・・・作中で使われたBGMの評価
システム・・・UI関係全般と演出、効果音などの評価
★☆★一言メモ★☆★
・選択肢なしで進んでいくシナリオ
・デスゲーム
・苦悩があるようでない
《総評》
今までにやったことのないデスゲームというテーマ性。
そして、独特なルート分岐の方法。BETシステムの存在。
その全てが、そういうやり方もあるんだ…という驚きを与えてくれました。
で、この驚きが全て良い方向に傾いてくれたかというと、残念ながらそうとは思えませんでした。
もっとこう、ここをこうしてくれたら……とか。
せっかくなんだからここをもっと……とか。
そういう感想を抱いてしまったのも事実でしたね。
じゃあ、つまらなかったの?と聞かれれば、それは断じてNOです。
つまらなかったら、クリアしてないです。ここで記事にもしてないです。
面白かったんですよ。
だからこそ、ああしてくれたら、こうしてくれたらっていう願いが出てきてしまったというのが答えになります。
個人的にはこうだったらよかったな、という部分が2つ。
ひとつは、デスゲームという舞台でやるなら、もっと凄惨な死に様が見たかった。
ひどい死に方をしているということはテキストから読み取れても、イベントCGがそこまででもなかったりしたので、インパクトがどうしても弱くなっていた気がします。
たとえば、腕がもげて血が噴き出して、苦悶の表情を浮かべるCGとか、そういうショッキングなCGを用意して、プレイヤーの脳裏に焼き付けさせる。
という手口をしてくれたらかなり心を揺さぶられたかも?と思うのですが、それって、人によってはショッキングすぎてゲームやめちゃう可能性もあるので難しいのかな。
もうひとつは、生き残るために人を蹴落とす苦悩や狂気が弱かったこと。
他のデスゲーム物がどういう展開かはわからないのですが、私が求めていた展開というのは、誰を裏切って殺すかとか、もしくあh誰を信じるかとか、そういう選択肢を選びながら分岐していく展開でした。
しかし、選択肢がないんですよ、このゲーム。
なので主人公の意志が揺らがないんです。
デスゲームを楽しもうというより、デスゲームに巻き込まれた人を見る話です。介入不可です。
この辺りが賛否のある部分だと思います。
ストーリー展開、特に終版は健速節全開です。さすが健速、よくやった健速。
健速の描く主人公って、カッコ良いんですよね。
物理的に強いというか精神力が強いイメージ。
そして、それに周囲が感化されるんですよ。
もちろん、テキスト読んでる自分も感化されます。
で、結果としてテンションが上がります。
うおおおおおおお!!!!って。
そういう盛り上がりを最後に見せてくれました!!(展開が予想出来ちゃったとかこまけぇことはいいんだよ!)
「ATRI-My Dear Moments-」のレビュー
沈みゆく世界で、君を見つけた。
《ゲーム紹介》
今回は『ATRI-My Dear Moments-』をご紹介します。
本作はフロントウィングが開発を担当し、アニプレックスから2020年に発売されました。翌年にはスマホとNintendo Swichへの移植版が発売し、2022年にはアニメ化の発表が行われました。(2023.02.現在、放映時期は未定)
沈みゆく世界で出会った自称:高性能ロボのATRIとの物語。
楽しくも儚い話がそこにあります。
《製作スタッフ》
クリエイターの情報
原画 |
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---|---|
シナリオ |
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音楽 |
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声優 |
赤尾ひかる(アトリ) , 髙橋ミナミ(高橋未奈美)(神白 水菜萌) 日笠陽子(キャサリン) , 須藤翔(ヤスダ) , 春野杏(名波 凜々花) , 細谷佳正(野島 竜司) 平山龍(その他) , 朝比奈幸(その他) , 阿部彬名(その他) , 鶴岡聡(その他) , 伊田菜津(その他) , ブリドカットセーラ恵美(その他) , 三苫紘平(その他) , 浅科准平(その他) , 北垣内春香(その他) , 野田真理愛(その他) |
歌手 |
|
その他 |
kur(ディレクター、EDムービー制作) , SCA-自(すかぢ、横浜元町)(ディレクター、アートディレクター、企画協力、演出素材) , 島田紘希(プロデューサー) , 紺野アスタ(企画) , 高橋学(アシスタントプロデューサー) , ゆさの(グラフィックチーフ) , 山川竜一郎(企画協力) , 岩上敦宏(企画協力) , yo-yu(よゆ)(OPムービー制作) , Azell(ポケットサウンド)(SE制作) , 魔王魂(KOUICHI、森田交一、株式会社ジョーカーサウンズ)(SE制作) , 荒川(グラフィック) , 眼鏡ドライバー(グラフィック) , 木根C(グラフィック) , 御剣ヒロ(スクリプト) , プ~(スクリプト) , WAMSOFT(合資会社ワムソフト)(プログラムエンジン) , 長谷川恵理(ロゴデザイン、システムUIデザイン) , 番組長伊藤誠(中国語翻訳、翻訳チェック) , 永唯(中国語翻訳チェック) , 上辻康二(公式サイト制作) , Kirksville co.,ltd.(株式会社カークスヴィル)(公式サイト制作) , 中野恭資(公式サイト制作) , Aiko Makino(協力) , A.W(協力) , Lauren Jeong(協力) , Dario Nitri(協力) , 山口仙(協力) , はかせ(作詞)(協力) , 徐毓敏(協力) , 小髙洋介(協力) , 枝松たると(協力) , 遠望(協力) , 迂回(協力) , りりち(協力) , 株式会社モリザワ(協力) , 木村崇(協力) , 西本修(協力) , 小野木航(協力) , 三鍋尚貴(協力) , らいれす(協力) , かづや(協力) , SIRO(協力) , コスモサイド(協力) , Anton Wong(協力) , フォントワークス株式会社(協力) , 鳴海瑛二(協力) , 反転星(協力) , ゆか(収録エンジニア) , どらの~る(宣伝) , 五十嵐黎也(宣伝) , Yow(網野コハク、amino)(演出) , めいと(演出素材) , よしな(演出素材) , アシズキ(演出素材) , くろず(演出素材) , 井上正之(演出素材) , 池田圭一(科学考証協力) , Sam Burton(編集) , Willeke Bloem(翻訳チェック) , Justin Patrick(翻訳チェック) , わいっしゅ(y.ish)(背景制作) , minori(背景協力) , MAGNUM(背景協力) , Nick E. Ruban(英語翻訳) , 松永司(音声収録ディレクター) , 高橋あきお(音声編集) , 山内真治(音楽制作協力) , 西田圭稀(音楽制作協力) , 安谷屋光生(音楽制作協力) , 岡村弦(音楽制作協力) , スタジオフォトン(音響制作、収録スタジオ) |
※ErogameScape-批評空間-様より抜粋
《評価と点数》
※評価項目について※
シナリオ・・・話の構成、文章の読みやすさ、語句の使い方など。文章全般の品質と物語としての面白さにおける評価。
作画全般・・・キャラクターや背景、イベントCGなど、全般的な絵の評価
ボーカル曲・・・OP曲、ED曲、挿入歌など、作中で使われた歌が入っている曲の評価
BGM・・・作中で使われたBGMの評価
システム・・・UI関係全般と演出、効果音などの評価
★☆★一言メモ★☆★
・10時間かからないボリューム
・全般的に癖がなくとっつきやすい
《総評》
まず1番に浮かんだ感想は、ノベルゲームを初めてやる人に超オススメということです。
私のプレイ時間はおそらく8時間くらいだったかと思いますが、ボイスの途中で文章を読み終えたら飛ばしてしまうので、ちゃんとフルボイスで聞いたらもう少しプレイ時間は膨らむと思います。
長編ならではの「重厚感」はそれこそ感じ取れないですが、逆に短編である利点を最大限活かしているという印象。
キャラクターのルート分岐を排除し、純粋な読み物として精巧に仕上げられているなと感じました。
しかも、ATRI一人だけで年下〜年上属性をカバーしているので、このキャラ俺に合わない・・・ということもあまりないんじゃないでしょうか?
全体的に文章には癖がなく、読みやすかったです。
透明感を持った文章は、物語の世界観とうまくマッチしていて、とても良かったなと。
BGMも美しいメロディで、雰囲気を醸し出すのに一役も二役も買っているし、
キャラクターボイスも別段不自然な様子は見受けられない。背景やキャラクターの作画も美麗にまとめられている。
初めてこういったゲームやる人でも、ルート分岐がよくわからなくて攻略できない!といった煩わしさもないし、クリアまで10時間かからなと思うので、途中で飽きてやめてしまう可能性も低いはずです。
つまりですね……
文句のつけどころがない!!
すごい!!えらい!!!!しかも安い!!
こんなによくできてるのに約2,000円は驚き桃の木山椒の木ですね(古い)
一番感心したのは「ATRIの可愛さ」です。
です・ます口調の喋り方。ほどよい天然具合。無邪気さと母性のバランス。
ATRIに甘えてもいいし、甘えられるのもいい。
こんな便利なキャラが他にいますか!!
俺のとこにもATRI来ないかなぁと何度プレイ中に思ったことか!!
おそらくこのゲーム買って後悔することはまずないので、気軽に買ってオッケーです。
私はこれを超えるコスパのノベルゲームは知りません。
ぜひぜひ、沈みゆく世界と希望を宿したロボットの物語をお楽しみくださいませ。