プレマルブログ

美少女ゲームの紹介、感想など。ネタバレには配慮してます。

「こなたよりかなたまで」のレビュー

それは本来起こらないはずの出会いだった

あらすじ
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あまり大きくない地方都市。そこにある一軒家に1人で住んでいる遥彼方。

両親は他界し天涯孤独の身だったが、そのことにめげる事無く丘の上の小さな学園に通いながら友達に囲まれ楽しく過ごしていた。


だが、彼方は末期のガンで余命幾ばくも無いことを医者に宣告される。


驚愕し混乱するものの、何とか心の平静を取り戻した彼方は1つの決断を下す。

可能な限りこの現実を守ろう、と。


そんな冬の朝、彼方が目を覚ますと何故か目の前に青い顔をして倒れている金髪の少女が居た。
とりあえず看病を始める彼方。
やがて目を醒ました少女クリスはとんでもない事を口走る。
自分は吸血鬼なのだ、と。


普通ならそんな話、一笑に付す所だったが、彼方は違った。

それを信じ、受け入れてしまう。それ以来、彼女と過ごすことになった彼方。


成り行きで始まったとはいえ、彼女との生活の中で、今の自分がやろうとしている事について考えさせられていく。

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©2003 FC01/HQ/F&C

《ゲーム紹介》

今回は往年の名作こなたよりかなたまでをご紹介します。

 

シナリオを担当した「健速」出世作かつプロデビュー作でもある本作。

原画担当のしゃあによる柔らかめのタッチで描かれるキャラクターたちと、健速による死生観をテーマに書かれたシナリオは相性抜群。

また、12時間程度でサクッとクリアできるのも、本作の魅力の一つ。

 

主題歌の「Imaginary affair」は名曲と名高いので、曲だけでも聞く価値は十二分にあると思いますよ!

 

youtu.be

 

 

 

 

《登場キャラクター紹介》

遥 彼方(はるか かなた)
本作の主人公。高校3年生。
幼少の頃に母を、物語開始時から一年ほど前に父を亡くし、そして自分も末期のガンに身体を蝕まれ、担当医に「次の桜を見ることはできない」と診断される。
クリスに出会い、自身の「決断」の是非を深く考えさせられるようになる。



©2003 FC01/HQ/F&C
クリステル・V・マリー 春瀬みき

通称:クリス。
半永久の命を持つ吸血鬼(本人曰く、厳密には「吸血
」らしい)。
尊大な態度をとり、言葉づかいもどこか物々しい。
吸血鬼だけあって体力の回復や身体能力は人より遥かに秀でているが、それは夜間の話であって、昼間は人間と同程度の力しか出せない。曰く「吸血鬼の最後の生き残り」
様々な存在から追われており、逃亡中に体力が尽きて彼方の家に転がり込んだ。

 

©2003 FC01/HQ/F&C
佐倉 佳苗(さくら かなえ) 声:風音

主人公の小学校来の幼なじみ。
母親を亡くした事で他人を遠ざけていた彼方に声を掛け、彼の心を開かせた。
その当時から彼方に想いを寄せ続けている。
突然現れたクリスを恋人と勘違いし、激しく動揺する。

 

©2003 FC01/HQ/F&C
九重 二十重(ここのえ はたえ) 
声:一色ヒカル
クリスを追っている人外の者達を「狩る」役目を負っている人物。
転校生として彼方たちのクラスにやってくる。
クリスに対しては「餌」という認識しか持っておらず、互いに利害の一致する部分はあるが歩み寄る様子は一切ない。

 

©2003 FC01/HQ/F&C
鹿島 いずみ(かしま いずみ) 声:紫苑みやび

主人公が通院している「県立がんセンター」に勤務する看護婦。
年齢不詳で、実年齢の話題に触れるとはぐらかしたりやんわりと殺意を匂わせたりする。
大人の女性とは思えない軽い言動で周囲を和ませているが、それは常に死を目にする仕事面での顔であり、とても繊細な彼女本来の心を隠し守るための仮面でもある。

 

朝倉 優(あさくら ゆう) 声:香月

県立がんセンターに入院している少女。小学校6年生ながら入院歴は長い。
そのためか、同年代の子供と比べやや成長が遅れている。
自分の死で周囲を傷つけないために、親しい関係を築くまいと数年間ほとんど誰とも口を利かなかった。
しかし主人公の言動で考えを改め、現在に至る。祖父が唯一の家族である。

 

©2003 FC01/HQ/F&C
島田 耕介(しまだ こうすけ) 声:石原慎祐

彼方の無二の親友。空手の有段者で、体力に優れる。
同年代で彼方の病気の事を知っている唯一の人物である。
佳苗に片思いしているが、彼女の彼方への想いも知っており、
佳苗に想いを告げることはない。

 

《制作スタッフ》

原画 しゃあ
シナリオ 健速
音楽 I've
声優 春瀬みき(クリステル=V=マリー) , 一色ヒカル(九重 二十重) , 風音(佐倉 佳苗) , 紫苑みやび(鹿島 いずみ)
石原慎祐(島田 耕介) , 香月(朝倉 優)
(その他) , 東十条(その他)
歌手 KOTOKO(OP曲「Imaginary affair」) , モモイヒトミ(MOMO、桃井ひとみ)(ED曲 「こなたよりかなたまで」)
その他 弥七(ディレクター)健速(企画)

※ErogameScape-批評空間-様より抜粋

 

©2003 FC01/HQ/F&C

 

《評価と点数》

※評価項目について※

シナリオ・・・話の構成、文章の読みやすさ、語句の使い方など。文章全般の品質と物語としての面白さにおける評価。

作画全般・・・キャラクターや背景、イベントCGなど、全般的な絵の評価

ボーカル曲・・・OP曲、ED曲、挿入歌など、作中で使われた歌が入っている曲の評価

BGM・・・作中で使われたBGMの評価

システム・・・UI関係全般と演出、効果音などの評価

 

★☆★一言メモ★☆★

・死生観全開のシナリオ。

・クリス以外のルートが弱い。

「Imaginary affair」は名曲。

 

©2003 FC01/HQ/F&C

 

《総評》

かれこれ20年近く前の作品であるにもかかわらず、未だに名作と謳われている作品ですが、実は結構とっつきにくい作品かもしれません。

 

というのも、ゴリッゴリの死生観モノだからです。

主人公が末期がんに侵されていて、余命幾ばくもない。それがこの話の大前提です。

なので、否応なしに「生きることとは?」「死ぬこととは?」というのを考えさせられます。

死生観モノは好きじゃないんだよなぁ・・・となると、おそらく本作は楽しめません。

 

次に、蛇足気味な要素と、取ってつけた感が否めないヒロインが何人かいること。

幅広いユーザー層に手を出してもらわねば、作品は売れないので仕方がないのですが、正直言ってファンタジー要素はちょっと強引だし、蛇足だったのでは?と思わざるを得ないです。

ヒロインもクリスと佳苗以外は個別ルートを用意するほどだったかな?とも思います。

 

それでいて全体のボリュームは15時間もかからず終わるという省エネ設計。

 

このような点から、こなかなは名作らしいぞ!と期待感高めで始めると肩透かしをくらった感じになると思うので、そんなに期待しちゃダメだぞっ!

 

いっそのことクリスルートの話だけにして、その他のヒロインは日常パートに組み込んもよかったかな・・・。それで作品の値段下げて売っていれば・・・

 

©2003 FC01/HQ/F&C

 

先ほども述べた通り、本作は死生観です。命と向き合うお話です。

とはいえ、現実ではあり得ない話なのです。

なので、自分と照らし合わせて考えるというよりかは、「死と向き合って決断していく主人公を見る」というだけの話なんですよね。

 

その姿を見て、単純に美しいと思えるかどうか、だと思います。

理屈ではなく、感覚としてビビビッとくるものがあるかどうか、みたいな作品かもしれません。

 

健速氏が綴る文章と、しゃあが描く柔らかく温かいキャラクター。そしてKOTOKOが歌う主題歌の「Imaginary affair」。

この3点は非常にキレイに混ざり合っており、この作品ならではという雰囲気を感じ取れます。

 

季節的にも冬の話なので、今の時期やるとちょうどいいかもしれませんね。

 

 

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