それは本来起こらないはずの出会いだった
《ゲーム紹介》
今回は往年の名作「こなたよりかなたまで」をご紹介します。
シナリオを担当した「健速」の出世作かつプロデビュー作でもある本作。
原画担当のしゃあによる柔らかめのタッチで描かれるキャラクターたちと、健速による死生観をテーマに書かれたシナリオは相性抜群。
また、12時間程度でサクッとクリアできるのも、本作の魅力の一つ。
主題歌の「Imaginary affair」は名曲と名高いので、曲だけでも聞く価値は十二分にあると思いますよ!
《制作スタッフ》
原画 | しゃあ |
---|---|
シナリオ | 健速 |
音楽 | I've |
声優 | 春瀬みき(クリステル=V=マリー) , 一色ヒカル(九重 二十重) , 風音(佐倉 佳苗) , 紫苑みやび(鹿島 いずみ) 石原慎祐(島田 耕介) , 香月(朝倉 優) 朧(その他) , 東十条(その他) |
歌手 | KOTOKO(OP曲「Imaginary affair」) , モモイヒトミ(MOMO、桃井ひとみ)(ED曲 「こなたよりかなたまで」) |
その他 | 弥七(ディレクター) , 健速(企画) |
※ErogameScape-批評空間-様より抜粋
《評価と点数》
《感想》
かれこれ20年近く前の作品であるにもかかわらず、未だに名作と謳われている作品ですが、実は結構とっつきにくい作品かもしれません。
というのも、ゴリッゴリの死生観モノだからです。
主人公が末期がんに侵されていて、余命幾ばくもない。それがこの話の大前提です。
なので、否応なしに「生きることとは?」「死ぬこととは?」というのを考えさせられます。
死生観モノは好きじゃないんだよなぁ・・・となると、おそらく本作は楽しめません。
次に、蛇足気味な要素と、取ってつけた感が否めないヒロインが何人かいること。
幅広いユーザー層に手を出してもらわねば、作品は売れないので仕方がないのですが、正直言ってファンタジー要素はちょっと強引だし、蛇足だったのでは?と思わざるを得ないです。
ヒロインもクリスと佳苗以外は個別ルートを用意するほどだったかな?とも思います。
それでいて全体のボリュームは15時間もかからず終わるという省エネ設計。
このような点から、こなかなは名作らしいぞ!と期待感高めで始めると肩透かしをくらった感じになると思うので、そんなに期待しちゃダメだぞっ!
いっそのことクリスルートの話だけにして、その他のヒロインは日常パートに組み込んもよかったかな・・・
先ほども述べた通り、本作は死生観です。命と向き合うお話です。
とはいえ、現実ではあり得ない話なのです。
なので、自分と照らし合わせて考えるというよりかは、「死と向き合って決断していく主人公を見る」というだけの話なんですよね。
その姿を見て、単純に美しいと思えるかどうか、だと思います。
理屈ではなく、感覚としてビビビッとくるものがあるかどうか、みたいな作品かもしれません。
健速が綴る美しい文章。
しゃあが描く柔らかく温かいキャラクター。
そしてKOTOKOが歌う主題歌の「Imaginary affair」
この3点は非常にキレイに混ざり合っており、この作品ならではという雰囲気を感じ取れます。
ファンザやDLsiteのセールになることも多いので、その際にでも買っておくといいかもしれません。
3,132円