ありふれた学園生活から始まる、人と町の物語。
今回は超ウルトラハイパーメガトンエターナル級の名作「CLANNAD」のレビューをします!!
私の人生に大きな影響を与えた本作。当ブログの開設時に単純な感想みたいな感覚でCLANNADの記事を書きましたが、今回はちゃんと評価していきたいと思います!
かなり偏った評価になるかもしれませんが、お付き合いくださいませ。
《ゲーム紹介》
本作は2004年にKeyから全年齢対象の恋愛アドベンチャーゲームとして発売されました。今となっては全年齢という言葉に驚きも何もありませんが、当時としてはかなり異端だったはずです。
Keyはエロゲメーカーです。エロゲ作ってたんだから、そりゃそうなんですよ。
で、いくらシナリオに重点を置いているからと言って、アダルトシーンを無くして発売してうまくいくのかどうか・・・そうはうまくいかないだろう。というのが当時の雰囲気だったのです。(若干予想を含んでます)
ところが、その暗雲を見事に晴らし、CLANNADは大ヒットを記録しました。
CLANNADの大ヒットにより、必ずしもアダルトシーンが必要なわけではないということを、メーカーもユーザーも知ることになったのです。
そして今となってはエロゲメーカーが出す全年齢対象の恋愛アドベンチャーゲームや、18禁→全年齢版へのリメイクなどの「非18禁化」が当然のように行われているのは本作の影響が大きいでしょう。
また、CLANNADは2004年に発売したものはボイスがついていませんでしたが、その後2008年にフルボイス版が発売されます。
家庭用ゲーム機にも何度も移植されており、PSP、PS2、PS3、PS4、Nintendo Switch、などなど・・・発売から20年近くたった今でも何らかの媒体で気軽に触れることが出来ます!!(2004年のPC版以外は全てフルボイスでプレイ可能です)
本作の特筆すべき点は、何と言っても”麻枝准の存在”でしょう。
彼がまだ現役のシナリオライターだったころの作品ということだけで、とてつもない価値が本作にはあります。(超信者目線)
近年はアニメの脚本を手掛けたり、スマホゲームの脚本を手掛けたり、あるいはPCゲームの企画や原案といった形で活躍している彼ですが、その真価はPCゲームのシナリオを書くことで発揮されます。
そして、彼が書いたシナリオの最高傑作が「CLANNAD」であるというのが私見です。
※※※※以下、私見によるCLANNADの完成度について※※※※
自称麻枝信者の私からすると、彼の作り上げる作品はとても素晴らしい反面、癖が強く、人を選ぶところがあります。CLANNADの前作にあたるAIRは、良くも悪くも彼の色が強く、幅広い人からの支持を得るということを目的とした場合、不向きであるといえます。しかし、そんな彼が作り上げたいモノの方向性に関しては、多くの人に受け入れられる傾向があるのも確かです。要は癖の強い部分をマイルドにしながら、良いところを残すことが望ましいのですが、本作はそれが見事に成功した作品であると言えるでしょう。おそらく麻枝史上最高傑作であり、本作を超える作品は生まれない可能性が高いです。
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また、この頃のKeyの原画といえば「樋上いたる」氏であり、まだNa-Ga氏などがKeyにはいなかった頃なので、原画家が複数に渡っていない作品です。統一感はあります。
とはいえ通称「いたる絵」はかなり癖が強いので、初見はちょっと戸惑うかもしれません。やれば慣れます。大丈夫。
CLANNAD(原作) クラナドは人生Tシャツ/WHITE-M
2,966円
《製作スタッフ》
クリエイターの情報
原画 | 樋上いたる |
---|---|
シナリオ | 麻枝准 , 魁(雲龍寺魁、まにゃ) , 涼元悠一 |
音楽 | 麻枝准 , 折戸伸治(がんま) , 戸越まごめ |
歌手 | riya(OP曲「メグメル」、ED曲「-影二つ-」「小さなてのひら」) , Lia(挿入歌「Ana」) |
その他 | 馬場隆博(BABA.DOS)(エグゼクティブプロデューサー) , 麻枝准(企画) , 丘野塔也(シナリオアシスタンス) , 藤井知貴(シナリオアシスタンス) |
※ErogameScape-批評空間-より抜粋
《評価と点数》
《感想》
前回の記事でサマポケのことを新Keyの希望と称えましたが、本作はその逆で、「旧Keyの到達点」です。
麻枝准のシナリオと樋上いたるの原画によるハーモニーはまさに至高。それだけでも贅沢なのですが、音楽面のクオリティもこれまた至高の領域。
全方面において美少女ゲーム史におけるトップクラスの出来栄えといっても過言ではないでしょう。
グランドエンドで流れる「小さなてのひら」は涙腺崩壊を引き起こすのですが、その涙は本編をクリアしたからこその涙です。楽曲だけ先に聞いて満足している方がいたら、許さないぞ!!
※余談ですが、アニメ版の楽曲である「時を刻む唄」も必聴レベルです。ただし、2番以降の歌詞がネタバレを含みますので、ゲームクリア後またはアニメ全話視聴後に聞くことをおすすめします。※
さて、「CLANNADは人生」なんて言葉がありますが、さて、本作が描いていたのはなんだったのかというと、まさしく人生です。
美少女ゲームで人生を語るなど、ある意味おかしなことであると重々承知の上で、私はCLANNADは人生であると答えます。
とはいえ、これが人生の正しい形である。というよりかは、あくまで人生を描いた物語という意味です。
ちなみに別の角度から人生を捉えた作品で「智代アフター」というのがありますので、興味のある方は私の過去記事をご覧ください↓↓
さて、この世の中には多くの人がいます。
そして、その全ての人にそれぞれの物語があります。
もちろん、私には私の物語があり、この記事を読んでいる方にもそれぞれの物語があります。
それらはどれ一つとして同じにはなりませんが、どんな人であろうと、良いことも悪いことも、様々なことを抱えて人生を歩んでますよね。
そして、この「CLANNAD」は主人公、岡崎朋也の人生です。
彼もまた、唯一無二の人生を歩みます。
人は生きていれば誰かと必ず交わります。独りでは存在し得ないからです。
友人と過ごしたり、異性と恋をしたり、親や兄弟姉妹と食卓を囲んだり。
過ごしてきた環境はみなさん違うとは思いますが、家族という存在がある、もしくはあったはずです。
そうやって人と交わりながら人は成長し、人格を形成し、人生を歩みます。
しかし、人生を歩んでいく中で、何もかも上手くいくのでしょうか?
挫折を知り、辛酸を舐め、ときには人を呪い、ときには環境を恨む。そういったこともあって当然です。
諸行無常という言葉があります。無”情”じゃないですよ、無”常”です。この世に変わらないものはない。という仏教の用語だそうです。
人生を歩む中で変化は常にあるはずです。
変わっていくのは自分であったり、他人であったり、もしくは街並みかもしれません。
その変化を「受け入れながらも、前に進むこと」がどれほど尊いことなのか。
生きるということは人と交わり、絆を紡ぐこと。
その絆さえ、常に同じ形ではなく、絶えず変化していくこと。
それらを全て受け入れるということは、良いことばかりではなく、苦しいことも、悲しいこともたくさん受け入れるということです。
でも、それでも、良いことと悪いことは、どうしても一緒になるんです。
泣いても笑っても、切っては切れないのです。
そうやって、人生を歩んでいくのだ、と。
嬉しいことも悲しいことも、すべてまとめて受け入れて、それでも人は生きるのだと。
主人公、岡崎朋也を通じて我々に訴えかけてくる。
それが、「CLANNAD」です。
4,170円
498円