プレマルブログ

美少女ゲームの紹介、感想など。ネタバレには配慮してます。

「素晴らしき日々~不連続存在~」のレビュー

「”言葉と旋律”の物語」

ストーリー
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それぞれの物語は旋律。
それらの旋律はさらに大きな物語と共鳴してゆく……。

「空と世界」「終わりと始まり」「文学と化学」「救世主と英雄」「兄と妹」「向日葵と坂道」

言葉は旋律となる。
素晴らしき日々』とはそういった物語。

“Down the Rabbit-Hole” ――「空と世界」の物語
夜空に現れる夏の大三角、そこは“世界の少女”と“空の少女”が出会う場所であるという伝承がある。
この伝承の下に集まった四人の少女達は、その空を探す冒険を始める。

“It’s my own Invention” ――「終わりと始まり」の物語
とある事件をきっかけに世界と自己との認識がズレ始める。
認識のズレの先、彼は世界の限界の場所に救いを見いだす。

“Looking-glass Insects” ――「文学少女と化学少女」の物語
二人の少女の戦いの話。彼女達は文学と化学をつかい、現実と戦う。
文学は強き意志、化学は物理世界に対する力。この二つだけが現実に対する彼女達の武器となる。

“Jabberwocky” ――「救世主と英雄」の物語
破壊者である事を運命づけられた少年の話。彼は、調和する世界のために創造者を破壊しなければならない。

“Which Dreamed It” ――「兄と妹」の物語
兄を慕う少女。彼女はずっと兄との約束を信じて、向日葵の坂道の下で待っている。

“JabberwockyⅡ” ――「向日葵と坂道」の物語
遠い世界の話。向日葵の坂道と、その先にある風景が語られる。

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今回は名作と名高い素晴らしき日々~不連続存在~」(HDフルボイス版)をプレイしたので、そのレビューをしていきたいと思います。

 

www.youtube.com

 

《ゲームの概要》

本作は2010年にケロQから発売され、その後、2018年にフルボイスHD版が発売されました。

また、同年の萌えゲーアワード大賞銅賞、シナリオ賞部門金賞受賞作品となっています。

このことからもクオリティの高さは折り紙付きと言えます。

 

特にシナリオにおいては、下記のような大きな反響がありました(wikipediaより一部抜粋)

 

本作は萌えゲーアワード2010において、大賞部門の銅賞、およびシナリオ賞部門の金賞を受賞した。その選評において『BugBug』編集長・大澤忠基は、シナリオの出来が評価されたことが銅賞受賞に繋がったと説明した。シナリオ賞へのノミネートは審査員推薦によるものであったが「簡潔で力強いテーマをもとに生み出されている多層的なシナリオ」「尻上がりにユーザーの心を惹きつけていくストーリーとシナリオ」(パソコンパラダイス編集長・西平和則)などと高く評価され、審査員の全員一致で金賞を受賞した。選考結果を報じた『PC Angel neo』2011年2月号において、ミスターXは、本作は好き嫌いがはっきりするタイトルであり、シナリオ賞受賞には異論もあるだろうとしつつ、「単に心地良い会話が延々と続くだけ学園モノや、起承転結を忘れた萌え要素の羅列AVGなどが裸足で逃げ出すとっつきにくさと重厚感」「ルート分岐すると他キャラとの絡みが無くなる多ライター分担シナリオに慣れているユーザーにとっては衝撃の重層的な展開と構成の巧みさ」と高く評価し、シナリオ賞受賞の妥当性を解説している

 

個人的に言うなれば「好き嫌いはあれども、シナリオの品質が高いことについては異論がなかった」ということでいいのかな、と。

また、本作は哲学書の引用や神話などの要素を取り入れてた部分もあり、そういったところはおそらく初見で理解できた人はいないと思います。

しかし、そういった部分が理解できなくても楽しめる作りになっているので、食わず嫌いで本作を避けているのであれば、気軽に触れてみてもいいかも・・・?

ただし、狂気・電波・グロ・犯罪・ホラー、といった要素も十分にありますので、ほんわかふわふわして、キャッキャッウフフを楽しむタイプのゲームではないことを忘れてはいけません。

 

 

 

 

《製作スタッフ》

クリエイターの情報

原画 基4(基4%) ,  , 籠目 , karory(乙夜かろり) , SCA-自(すかぢ、横浜元町)(サブ)
シナリオ SCA-自(すかぢ、横浜元町) , 文音(彩音)(シナリオ)(サブ) , 藤倉絢一(サブ) , 千歳(サブ)
音楽 ryo , 松本文紀(szak) , H.B STUDIO
声優 北都南(橘 希実香) , かわしまりの(水上 由岐) , 如月葵(若槻 司) , 小倉結衣(若槻 鏡) , 藤神司朗(佐山森)(間宮 卓司) , 西田こむぎ(間宮 羽咲) , 成瀬未亜(平山紗弥、笠原晴香、加賀美琴音、井上ねねこ、日比谷小桃、佐倉千枝理、酉井凛々子、松永亜夜)(音無 彩名) , 涼屋スイ(高島 ざくろ)
歌手 はな(主題歌「空気力学少女と少年の詩」、3章正史ED曲「終末の微笑」、終ノ空ⅡED曲「呪われた生 / 福された生」) , monet(序章ED曲 「神と旋律」、1章ED曲 「鏡の世界には私しかいない」、2・3章HappyED曲 「ナグルファルの船上にて」、向日葵の坂道ED曲 「登れない坂道」)
その他 SCA-自(すかぢ、横浜元町)(プロデュース、企画、塗装、背景、演出素材) , duet(3章正史ED素材) , 癸乙夜(OPムービー) , H.B STUDIO(キャスティング&収録スタジオ) , みつき(スクリプト) , コムラ(スクリプト、EDムービー) , 遊鳥(スクリプト、広報) , 松本文紀(szak)(デバッグ) , 藤倉絢一(デバッグ) , Darios Sawm(プログラム) , 深草翔(塗装) , NAKAM(塗装) , 基4(基4%)(塗装) , 籠目(塗装) , karory(乙夜かろり)(塗装) , (塗装) , ナナカ(塗装、スクリプト) , 新川尚士(塗装、背景) , 柚子璃刃(演出、スクリプト、EDムービー) , ことるり。(画面素材、デザイン) , 吉田誠治(棚葉)(背景) , 赤坂アカ(背景)

※ErogameScape-批評空間-様より抜粋

 

 

《評価と点数》

※評価項目について※

シナリオ・・・話の構成、文章の読みやすさ、語句の使い方など。文章全般の品質と物語としての面白さにおける評価。

作画全般・・・キャラクターや背景、イベントCGなど、全般的な絵の評価

ボーカル曲・・・OP曲、ED曲、挿入歌など、作中で使われた歌が入っている曲の評価

BGM・・・作中で使われたBGMの評価

システム・・・UI関係全般と演出、効果音などの評価

 

★☆★一言メモ★☆★

・ストーリー展開は見事と言わざるを得ない

・ゲームならではの演出も◎

・主題歌、BGMに良曲多し

 

 

《総評》

あまりやったことのないジャンルだったので、かなり驚かされました。特に、電波や狂気の部分ですね。

普通のシナリオゲーばっかりやってきたので、耐性がなかったです。

プレイ中に「ひえっ」とリアルに口に出たのはこれが初めてでした。

怖いところはほんと怖かった・・・

たまーにエロゲってシナリオ重視なんだから、小説でも成り立つよね。と思うこともあるんですが、本作はゲームという媒体じゃないとその良さを活かしきれないと感じました。

話を展開していく手段として、やっぱり文章以外の手段を用いることって重要なんだなと学ばせてくれましたね。

 

章を追うごとに抱いていた疑問が解決されていく様は圧巻。

2章、3章あたりがテーマも重く、いろんな疑問がまだ解決されないところなので、ギブアップする方がいるとしたらここかな?というのはわかりました。

個人的には3章がきつかった・・・あれは、うん、きつい。

3章に来るころには、キャラクターに愛情とか親近感とか、そういうものを抱いてますから。それが故のつらさですね、はい。

ほんと上手い構成だこと・・・

 

4章以降は物語の解決に向けて急速に展開されていきます。

実際に章ごとのプレイ時間を計測していたのですが、1~3が長めで、4~は短めでした。

ラストスパートだ!ってなってから長すぎると、ユーザー側がダレる可能性もあるのでわざと短めなのかもしれませんが、そのおかげでちゃんと疾走感を失わずエンディングまでたどり着きます。

 

よく言われる本作の哲学要素ですが、クリアしてもよくわかりませんでした!(爆)

おそらく初見で理解できる人いないんじゃないかな?ってレベルです。

これはもう理解されなくてもいい前提で作られている気もしますので、「いやぁそういう小難しい話ってわからないから・・・」という理由で本作を避けているのであれば、気にせずプレイしましょう。

わからないままでも本作の凄さは伝わります。2010年萌えゲーアワードシナリオ賞金賞たる所以はそこにあるでしょう。

未だにすば日々が何を伝えたかったのかはわかりませんし、ひょっとしたら何か伝えようとしていると捉えることすらズレてるのかも?ってくらい理解してません。

でも、それでも大丈夫。すば日々はいいぞ。

 

 

本作は決してシナリオ一点突破型のゲームではなく、作画、音楽、演出、どの面をとっても非常に高いクオリティでした。

音楽面でいえば主題歌もさることながら、BGMの「夜の向日葵」スタンディングオベーションの出来栄えです。

無限に聞いてられるレベルのBGMに出会ったのは何年ぶりだろうか、というくらいの曲です。

 

人を選ぶことは間違いないのですが、肌に合わなさそうだからやらないというにはもったいない作品です。

完全に拒絶反応が出るほど無理というわけでもなく、ちょっと苦手そうな分野だというくらいなら、あえて手を伸ばしましょう。

 

「苦手なもの=悪いもの」と認識してしまうのは、もったいなさすぎます。

 

ああ、この作品は素晴らしいな、それは間違いない。でも、僕には合わないから好きではない。

 

もしも苦手だとしても、

そう思えるほどの力が、素晴らしき日々~不連続存在~」にはありますよ。